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「今月のブログ」では、MASCOT Daemon ver.2.7 で新たに実装された新機能「Quantitation Summary」により、複数の検索結果から集めた発現解析データの集計をより簡単にするための方法をご案内します。

「今月の論文」では、FAIMS・ProteinA 抗体精製カラム・非変性条件下での消化処理、の組み合わせにより、モノクローナル抗体の宿主細胞タンパク質のプロテオミクスプロファイリングを可能にする新しい手法に関する論文を取り上げました。

「今月の小技」では、MASCOT Server をアップグレードする際に時々発生するバグと、もしそのバグが発生してしまった場合の対処法についてご説明いたします。

Mascotニューズレターの バックナンバーはこのページ からご覧いただけます。日本語版は「Japanese」リンクをクリックしてください。また、Mascotニューズレターの内容に関してお気づきの点やご質問などありましたらご連絡ください。

 

今月のトピックス

Quantitation Summary :アノテーション
モノクローナル抗体の宿主細胞タンパク質同定
アップグレード時のバグと対処法
 

Daemonの新機能Quantitation Summaryで、発現解析データの集計をより簡単にする

定量プロテオミクスでは様々なサンプル・測定データを取り扱います。異なる細胞や実験処理由来のデータ、あるいは時系列での状態変化を見るための測定であったり、サンプルが分画されていたりする事もあります。定量データの再現性チェックのため、繰り返し実験(Replicate)が行われる事もあります。これらの解析結果を組み合わせ、統計的手法を適用して意味のある情報を抽出し、グラフや表として報告するまでの過程は非常に複雑な作業です。

Mascot Daemonの最新バージョンでは、Daemon上で実行した定量解析を含む検索結果を選択し、サンプル情報などのアノテーションを付けて定量値を出力する事ができる機能「Quantitation Summary」を実装しました。選択された各結果はデータ処理をされ表形式で各タンパク質別の定量値を作成します。定量の手法としてはラベルフリーの定量法およびレポーターイオン法を含む同位体標識定量法のどちらにも対応しています。Daemonから出力されたスプレッドシートは、RやPeruseus などを使って統計解析を行っていく際それらの入力データとしても使用可能です。

2020年5月のブログ記事(英語日本語訳)では、12個のrawデータを使用して具体的なファイル作成手順を説明しています。ラベルフリー定量解析を行っており、4つの異なる濃度、それぞれ3回の繰り返し実験(4 x 3 =12)でHeLa細胞抽出物にスパイクされたE.coli細胞抽出物のデータです。繰り返し実験データ間の変動に関心があるかどうかで、これらのデータをマージして利用したり、逆に別々のまま保持して利用したりすることができます。目的に応じてラベル命名のルールを変更し、後の解析に役立ててください。

今回の新機能 Quantitation Summaryの良い点として、通常のMASCOT検索と同じ同定タンパク質のグループ化ルールが適用される事が挙げられます。これにより、定性と定量でリストアップされる同定タンパク質のリストにズレが生じません。

Mascot Daemon

モノクローナル抗体の宿主細胞タンパク質のプロテオミクスプロファイリング最適化

Mascotニューズレターで取り上げてほしい話題や研究論文がありましたらぜひご紹介ください。また、Mascotニューズレターの内容に関してお気づきの点やご質問などありましたらご連絡ください。

 

Combination of FAIMS, Protein A Depletion, and Native Digest Conditions Enables Deep Proteomic Profiling of Host Cell Proteins in Monoclonal Antibodies

Reid O'Brien Johnson, Tyler Greer, Milos Cejkov, Xiaojing Zheng, and Ning Li

Anal. Chem. 92, 10478-10484 (2020)

宿主細胞タンパク質(Host Cell Proteins, HCP)は、バイオ医薬品の製造中に発現細胞株から発生する残留不純物です。大部分は精製時に除去されますが、治療用タンパク質の有効性と安全性に大きなリスクをもたらす可能性もあるため、HCPは積極的にモニターしなければなりません。しかしLC-MS/MSでの解析においては、医薬品側のタンパク質(抗体)に比べHCPが少量であるため、検出が難しいという問題がありました。

この研究論文では、HCPを効率良く検出する方法について検証しています。 最初にプロテインA抗体精製カラムで抗体サンプルを除去し、次に残りの抗体を沈殿させながらHCPを非変性条件下で特異的に消化(native digestion)し、最後に高磁場非対称波形イオンモビリティー(FAIMS)を適用する事で、文献に報告されている既存のどの質量分析手法よりも数倍も多くのHCPをNISTモノクローナル抗体標準試料中から同定しています。

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MASCOT ver.2.7 アップグレード時に発生するエラーと、その対処方法

Mascot Server 2.7 にアップデートした後Database Manager 画面を初めて開くと、エラーメッセージが表示される例がいくつか報告されています。表示されるエラーメッセージは以下の通りです。

"Some of the predefined definitions files in /mascot/config/db_manager/public have the same last-modified time."

これは、アップグレードに使用するインストーラープログラムが時々引き起こしてしまう問題です。現在も原因は不明でバグ調査中です。アップグレード実行時、Database Manager がデータベースの基本定義ファイル「databases_1.xml」の更新日時を、既存の他の定義ファイルと同じ内容に書き換えてしまう事があります。その結果、更新順序の判定に問題が生じ前述のようなエラーメッセージが生じます。

エラーメッセージにあるフォルダのファイルリストをチェックして、databases_1.xmlの更新日が2018年3月8日かご確認ください。もしこの日付であれば、修正方法はdatabases_1.xmlの最終更新時刻をほんの少しだけ変更するだけです。

Linuxの場合:シェルプロンプトで、エラーメッセージで指定されたディレクトリに移動します。続けてファイルのタイムスタンプを変更するコマンドtouchを以下のように実行します。

touch -t 201803081128 databases_1.xml

コマンド実行後、dirコマンド等で該当ファイルの更新時間がtouchで設定した通り(例なら11:28)になっているかご確認ください。

Windowsの場合:PowerShellウィンドウを開き、エラーメッセージで指定されたディレクトリに移動し、次のように入力・実行します(改行のない1行です)。

$(Get-Item "databases_1.xml").lastwritetime=(Get-Item "databases_1.xml").LastWriteTime.AddMinutes(1)

コマンド実行後、該当ファイルの更新時間が実行前より1分進んでいるかご確認ください。

Mascot tip

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