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2019年7月号

「今月のブログ」では、Proteome Discoverer(PD)に実装されている「Mascot Node」を利用する際の注意点についてまとめました。

「今月の論文」では、iTRAQの定量計算において、レポーターイオンのピーク強度を使った定量計算方法に関する研究論文を取り上げました。

「今月の小技」では、ニュートラルロスの取り扱いについてご説明いたします。

Mascotニューズレターの バックナンバーはこのページ からご覧いただけます。日本語版は「Japanese」リンクをクリックしてください。また、Mascotニューズレターの内容に関してお気づきの点やご質問などありましたらご連絡ください。

 

今月のトピックス

PDの「Mascot Node」
ピーク強度積算を利用したiTRAQ定量計算法
ニュートラルロスの取り扱い
 

今月のブログ:PDの「Mascot Node」を利用する際の注意点について

サーモサイエンティフィックのProteome Discoverer(PD)のワークフローに「Mascot Node」を追加してMascot Serverにアクセスしているお客様も多いと思いますので、「Mascot Node」を利用する際の注意点などについてまとめました。

  • ピークリストサイズ
    ピークリストのサイズが大きい場合、PDはそれを500MB単位に分割・小分けしたピークリストを作成し、それら各々に対してMascot検索を実行するとともに(参考:Proteome Discoverer User Guide Software Version 2.2, 28頁)、それらの検索結果を統合して表示します。もしWebブラウザでそれらの分割された検索結果を統合して表示したり、再検索や繰り返し検索を実行したい場合は 2017年5月のMascot ニュースレターの「今月の小技」でご紹介した複数の検索結果を束ねてひとつの検索結果ページとして表示する方法をお試しください。
     
  • サポートされていない機能
    キメラスペクトルに対する検索、Error tolerant検索、FASTAデータベースとスペクトルライブラリを組み合わせた統合検索 などの検索機能はサポートされていませんので、WebブラウザからMascotの検索ログにアクセスして検索結果を開き、再検索・繰り返し検索を実行してください。なお、キメラスペクトルに対応するピークリストはMascot Distillerを使って作成することができます。ご興味がありましたら 30日間の試用ライセンス でお試しください。
     
  • PSM(Peptide-Spectrum Match)に対するFDR評価
    大規模なデータベースや検索空間を大きくする検索条件(たとえば[Enzyme=none]や多数の[Variable modifications])を選択した場合は、「Target Decoy PSM Validator Node」よりも「Percolator Node」の方が感度(SensitivityあるいはTrue positive rate)が良くなりますのでお試しください。

詳しい説明を ブログ にまとめてありますのでご覧ください。

Proteome Discoverer workflow

今月の論文:ピーク強度を利用したiTRAQ定量計算法

Mascotニューズレターで取り上げてほしい話題や研究論文がありましたらぜひご紹介ください。また、Mascotニューズレターの内容に関してお気づきの点やご質問などありましたらご連絡ください。

 

Sum of peak intensities outperforms peak area integration in iTRAQ protein expression measurement by LC-MS/MS using a TripleTOF 5600+ platform

Bastien Burat, Julien Gonzalez, Francois-Ludovic Sauvage, Hassan Aouad, Helene Arnion, Emilie Pinault, Pierre Marquet and Marie Essig

Bioscience Reports, 39(6) BSR20190904 (2019)

iTRAQのレポータイオンのピーク、たとえば114ピークはその近傍に114由来ピークがいくつか存在しますので、通常はそれらを包含するような面積を定義して定量計算に使いますが、この研究論文ではピーク強度を積算する計算方法(jTRAQx)と独自の定量計算アルゴリズム(CiR-C)を構築してMascotと組み合わせることにより、ピーク面積計算では得られなかった、ウエスタンブロッド定量の結果に対する強い相関が得られたと報告してます。

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今月の小技:ニュートラルロスの取り扱い

修飾のニュートラルロスに対する取り扱いは、Mascot Server Welcomeトップページの[Configuration Editor]リンク→[Modifications]リンク→[修飾エントリ名]リンク→[Specificity]タブの[Neutral loss]ブロックで設定することができます(デフォルトでは編集不可モードになっていますので、編集・変更する場合はページ右下の[Make editable]ボタンを押して編集モードにしてください)。

  • Scoring:プロダクトイオンに由来するニュートラルロスとして検出した場合に(プロダクトイオン質量からニュートラルロス質量を引いた値を持つピークにマッチした場合に)スコアに加算します。Peptide Viewページの質量スペクトル図の中では、例えばリン酸化ペプチドの場合は、マッチしたプロダクトイオンピークに「y(m)-98」や「b(n)-98」のように、ニュートラルロス質量98のラベルを付けています。ニュートラルロスは最大10個のピークを考慮します。ひとつのニュートラルロスのピークが複数のプロダクトイオンに由来する場合は最もスコアの高いニュートラルロスを採用し、他のニュートラルロスは「Satellite」として取り扱います。
     
    ニュートラルロスの発生状況はイオン化法によって異なりますが、開裂エネルギーによっては中途半端なニュートラルロスが発生(ニュートラルロスが発生しているプロダクトイオンと発生していないプロダクトイオンが混在)しますので、この場合は「ニュートラルロス=ゼロ([Composition]入力欄を空白にする)」の設定を追加してください。
     
  • Satellite:スコアの加算対象にはなりませんが、スコア補正計算(「数撃てば当たる」などの要因を除外するための補正をかけています)で使用するノイズピークからは除外されますので、スコアは相対的に高くなります。ちなみに、この設定を持つ修飾エントリはunimodデータベースには今のところ存在しません。
     
  • Peptide:プリカーサイオンに由来するニュートラルロスとして検出した場合、スコア補正計算で使うノイズピークから除外します。なお、通常のMS/MSスペクトルに対する検索ではプロダクトイオンのマッチングを検出・評価し、プリカーサイオン由来のピークは検索には使いません(存在しても無視します)ので、この「Peptide」選択はニュートラルロスに特化した設定です。
     
  • Required Peptide:プリカーサイオンに由来するニュートラルロスの存在を明示的に指定する選択になります。このニュートラルロスを検出できない場合はプロダクトイオン由来のニュートラルが存在してもすべて無視されます。完全無欠なニュートラルロススペクトルにマッチさせたい場合に利用すると完璧な検索結果が得られると思います。
fragile molecule

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